研究実績の概要 |
相同 miRNA 識別技術の構築を目指し, DNA/RNA ミスマッチ認識タンパク質の構造機能解析と, その応用法の開発を行った。高度好熱菌由来 BsbP タンパク質および MutS2 タンパク質を主要なターゲットとした。MutS2 タンパク質については, C 末端領域に存在するエンドヌクレアーゼドメインを除去した変異体を作製し, 研究に用いた。まず, DNA/RNA 結合能を調べたところ, BsbP タンパク質は DNA/DNA または DNA/RNA から成る 5 塩基以上の比較的大きなミスマッチ (ループ状/バブル状の構造) を認識することが分かった。一方, MutS2 は, 同じく DNA/DNA または DNA/RNA 2 本鎖分子に結合するが, BsbP とよりもさらに大きな 10 塩基以上のループ状/バブル状構造を認識することが分かった。そのようなミスマッチ構造は, RNA を検出するための逆転写反応において, primer と鋳型の間で形成されると予想される構造である。そこで, MutS2 や BsbP が, ミスマッチを含む primer-DNA または primer-RNA 複合体からの DNA 増幅を阻害するかどうかを, real-time PCR 装置を用いて調べた。その結果, 両タンパク質は, ミスマッチを含む primer-鋳型複合体からの増幅を特異的に阻害した。DNA 結合特異性の解析結果から示唆されたとおり, BsbP や MutS2 は, primer-鋳型複合体が比較的大きなミスマッチ (3 塩基以上) を含む場合に, 核酸の増幅を強く阻害した。これらの特徴は, primer の設計を工夫することによって, 目的の配列を持った DNA または RNA を特異的に検出する方法に応用可能であると考えられる。
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