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2016 年度 実施状況報告書

非可食バイオマスの直接発酵を可能とする宿主微生物の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K18683
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

秋田 紘長  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 機能化学研究部門, 研究員 (10738024)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード木質系非可食バイオマス / リグニン / リグニン分解活性 / Ureibacillus / ゲノムシーケンス
研究実績の概要

木質系非可食バイオマスの全主成分から有用物質の発酵生産を可能にする宿主微生物の開発を行うため、好気性好熱性細菌Ureibacillus thermosphaericusが有するリグニン分解活性を解析した。具体的には、リグニンを単一炭素源に用いて、U. thermosphaericusを培養し、U. thermosphaericusの増殖を確認するとともに培養液に含まれるリグニン分解物の同定を試みた。その結果、U. thermosphaericusの増殖は、グルコースなどを炭素源に用いて培養した場合と比べて、著しく低くなることが明らかになった。また、U. thermosphaericusの増殖能は、リグニン分解能を有する微生物のそれと比較した場合、著しく低くなった。
U. thermosphaericusのリグニン分解活性を酵素・遺伝子レベルで解明するため、ゲノムシーケンスを解読した。ゲノムシーケンスの解読結果から、U. thermosphaericusにはリグニン分解に必要とされる複数種の酵素が備わっていない、またはそれら酵素の活性が低いことが示唆された。
一方で、高いリグニン分解活性を有する微生物を新たに単離するため、自然界に存在する環境土壌を用いて広範なスクリーニングを行った。その結果、木質系非可食バイオマスの全主成分のうち、複数種の成分を炭素源として利用可能な微生物を腐葉土より新たに単離した。本単離微生物は、通常の微生物が増殖できないような貧栄養状態でも増殖可能な点で、優れた特性を持つ微生物であった。さらに、本単離微生物をグルコースを炭素源に用いて培養した場合、U. thermosphaericusと同様の優れた増殖速度を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究を計画した当初、リグニン分解物を利用した外来遺伝子発現システムをU. thermosphaericusの菌体内に新たに構築することを計画していた。一方で、U. thermosphaericusのリグニン分解活性を詳細に解析した結果、U. thermosphaericusが有するリグニン分解活性活性は低く、その活性を利用した外来遺伝子発現システムを構築することは難しいことが判断された。また、キシロースを利用した外来遺伝子発現システムを構築するため、U. thermosphaericusの炭素カタボライト抑制の解除を試みているが、炭素カタボライト抑制が解除された株を作製できていない。

今後の研究の推進方策

U. thermosphaericusのリグニン分解活性の解析及びゲノムシーケンスの解読結果から、リグニン分解物またはキシロースを利用した外来遺伝子発現システムをU. thermosphaericusの菌体内に新たに構築することは難しいことが判断された。そこで今後は、新たに単離した微生物を利用して、外来遺伝子発現のための宿主微生物の開発を行う。単離した微生物について、系統的解析及び生理学的解析、生化学的解析を行い、単離した微生物の特性を明らかにする。さらに、発現ベクターを利用して外来遺伝子の発現を試み、単離した微生物が、宿主微生物として機能するか検討する。

次年度使用額が生じた理由

U. thermosphaericusが有するリグニン分解活性を解析した結果、そのリグニン分解活性が低く、リグニン分解物を利用した外来遺伝子発現システムを菌体内に新たに構築が難しいと判断された。また、キシロースを利用した外来遺伝子発現システムの構築にも至っていない。
これらのことから、研究計画の見直しが必要とされ、当初予定していた使用計画の変更が余儀なくされた。

次年度使用額の使用計画

研究計画の見直しに伴い、新たに単離した微生物の系統的解析及び生理化学的解析、生化学的解析を実施する。それら微生物の特性を明らかにすることで、微生物の種名を提唱する。さらに、単離した微生物が、外来遺伝子を発現させるための宿主微生物として機能するかを検討する。これらの研究について、当該助成金と合わせて翌年度分として請求した助成金を使用する予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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