研究実績の概要 |
本研究は、申請者らが独自に開発したビタミンC(VC)を体内で合成できないSMP30ノックアウト(KO)マウスと、エストロゲンを合成できないAromatase(Ar)-KOマウス、ヘアレスマウスを掛け合わせたSMP30/Arダブルノックアウト(DKO)ヘアレスマウスを用いて、青壮年期の女性(エストロゲン充分)や更年期以降の女性(エストロゲン欠乏)の皮膚におけるVC不足, VE不足, 2重(同時)不足が皮膚に及ぼす影響、特に紫外線による皮膚の黒化やシワの形成(光老化)に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。VC, VE, エストロゲンを合成できないSMP30/Ar-DKOヘアレスマウスの作出は、自然交配では長期間を要する上、Ar-KOマウスは不妊のため、作出効率が著しく低い。そこで、各マウスから卵子と精子を採取して体外受精・胚移植することにより、不妊マウスの仔も得られ、短期間で交配を進めることを目指した。初めに、体内でVCを合成できないSMP30-KOマウスとHos:HR-1ヘアレスマウス(アルビノ、無毛のため皮膚の解析が容易)を交配し、SMP30-KOヘアレスマウス [無毛で黒色(メラニン合成可)、VC, VEを合成できないが、エストロゲンは合成できる]を得た。次に、エストロゲンを合成できないAr-KOマウスと交配し、SMP30/Ar-DKOヘアレスマウス [無毛で黒色(メラニン合成可)、VC, VE, エストロゲンを合成できない)を作出した。しかし、実験群のマウスを作出するために必要なメスのSMP30/Ar-DKOヘアレスマウスは、体外受精・胚移植を行うのに十分な匹数が得られなかった。そこで、雌雄のSMP30-KO/ArヘテロKOヘアレスマウスを自然交配させて、体外受精・胚移植用のマウスの作出を試みたが、繁殖成績が悪く、体外受精・胚移植に必要な匹数が得られなかった。
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