園芸植物として有名なサツキは日本原産であり、関東~近畿地方と屋久島の2地域の河川沿いに分布する特徴を有する。渓流沿いに生育する植物は細い葉を持つ特徴があり、サツキも同様に近縁種(母種)であるヤマツツジと異なり細い葉を持つ。加えて、開花期がヤマツツジよりも遅い特徴を有する。サツキの進化過程を推定した結果、2地域のサツキは系統的に最近縁ではなく、近縁なのはそれぞれ東日本と西日本に分布するヤマツツジであった。これは、サツキが少なくとも2回独立に進化した可能性を示しており、サツキに特徴的な生態は生育環境に由来する自然選択によりもたらされたと考えられる。 そこで、この2系統がどのような過程により進化したのか解明するため、本州のサツキに系統的に近い本州のヤマツツジ、屋久島のサツキに系統的に近い九州のヤマツツジを2つのグループとして定義し、それぞれのグループ内で非同義置換の集中した遺伝子がグループ間でも共通のものであるか探索した。併せて、4つの系統(本州サツキ、屋久島サツキ、本州ヤマツツジ、九州ヤマツツジ)の樹形探索と同義置換/非同義置換のゲノムワイドな比較も行った。
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