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2018 年度 実績報告書

環境DNAに立脚した保残伐林の生物多様性の多角的分析

研究課題

研究課題/領域番号 16K18715
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

辰巳 晋一  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (40773437)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード生態系管理 / 生物多様性 / 微生物
研究実績の概要

本研究の目的は、保残伐施業による生物多様性保全の保全効果を評価することである。保残伐施業とは、伐採時にあえて樹木を伐り残すことで生物の棲家を確保し、多様性の保全を図る施業方法である。本研究では、これまで生物多様性の指標として広く用いられてきた「生物種数(α多様性)」に加えて、「場所間の種組成の違い(β多様性)」や「ある場所に住む生き物の進化・系統的な多様性を評価する指標(系統的多様性)」を分析することで、多様性形成の裏にあるメカニズムも合わせて明らかにする。対象分類群は土壌微生物などとする。
三年目となる本年度は、主に統計解析と論文執筆・投稿を行った。具体的には、保残伐施業が実施されているフィンランドFIRE試験地の植物群集データを使って、保残伐施業がα・β多様性に与える影響を解析した。保残伐施業が行われた林分は、伐採されていない林分と比べてα多様性が高くなった。一方で、β多様性は「保残伐」「伐採なし」「皆伐」に関わらず、変化しなかった。この結果は「皆伐すると森林が本来持つ空間異質性が失われる」という従来の想定を覆すものである。一方で、保残伐が行われた場所では、伐採後に新たに定着する植物のβ多様性が高かった。これは、保残された森林パッチが避難場所として機能し、そのパッチが伐採跡地への植物への再定着を促したのだと考えられる。また、伐採跡地において植物が遷移していく際、その系統的多様性がどのように変化するかを個体ベースモデルを使ってシミュレートした。その結果、隣接個体間の競争が系統的多様性を大きく規定することが示された。研究成果は国際英文誌Journal of Ecologyに掲載された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Individual-based models of community assembly: Neighbourhood competition drives phylogenetic community structure2019

    • 著者名/発表者名
      Tatsumi Shinichi、Cadotte Marc W.、Mori Akira S.
    • 雑誌名

      Journal of Ecology

      巻: 107 ページ: 735~746

    • DOI

      10.1111/1365-2745.13074

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2019-12-27  

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