研究課題/領域番号 |
16K18716
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
トウ ソウキュウ 信州大学, 先鋭領域融合研究群山岳科学研究所, 研究員 (00772477)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 森林計測 / リモートセンシング / 航空レーザー / 高分解能画像 / 3D樹冠抽出 / 樹種分類 |
研究実績の概要 |
持続的な森林経営を行う上で、広範囲な森林資源量を単木レベルで正確に算出することは森林管理において必要な基礎情報である。研究代表者は高分解能画像から樹頂点と単木樹冠情報の抽出と樹種判読を行ったが、2D情報を持つ衛星画像や航空写真から単木樹高とDBHの推定は不可能であった。この課題を解決するために、本研究は3D情報を持つ航空レーザデータとマルチスペクトル画像の組み合わせによる樹種別の立木位置、本数、樹高、DBH、材積とバイオマスを推定することができ、広域で多様な森林に適用される森林資源解析システムを確立することを目的として実施した。 H28年度は多様な林相を持つ信州大学農学部構内演習林を中心として、航空レーザデータから3D樹冠抽出手法を開発した。単木の抽出率は林班によって71.78%~99.17%であった。そして、航空レーザデータと高分解能航空写真の組み合わせによる単木レベルでの樹種分類方法を確立した。24個の分類器の中で、二次のサポートベクターマシンは90.8%の全体精度であり、樹冠分類に一番良い方法であることがわかった。さらに、航空レーザデータと高分解能航空写真を組み合わせて、アファンの森における広葉樹天然林の樹種分類を試した。現地調査で235本の上層木のDBH、樹高と位置を調査して、GISデータベースを作成した。航空レーザデータと航空写真から抽出した69個のパラメーターを用いて、3種類の針葉樹と10種類の広葉樹を分類した。全体精度は50%であった。 研究成果として論文の作成と共に特許申請を行った。論文は海外英文学術誌Remote Sensing(ISSN 2072-4292)にオープンアクセスで掲載された。そして、第6回中部森林学会大会と第128回日本森林学会大会で研究成果を口頭発表した。招待講演は2016年7月に東京で開催した第2回先進光学衛星利用ワークショップで講演した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の基盤となる高精度なデータの取得、ソフトウエアの購入、データの解析、研究成果の投稿と発表は計画通りに進んでいるため、おおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
予定した検証用中国科学院清原森林生態観測ステーション試験林における二次林の樹種が少ないため、樹種分類の広域検証はアファンの森に変更した。H28年度に得られた結果を基にして、異なるセンサーで撮影したデータの解析から広葉樹分類精度の改善を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入物品の納品日が次年度となったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は4月に納品予定の物品購入に使用する。H29年度請求額は当初の予定通り、物品購入や論文掲載料として使用する計画である。
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