研究課題
持続的な森林経営を行う上で、広範囲な森林資源量を単木レベルで正確に算出することは森林管理に必要な基礎情報である。研究代表者は高分解能画像から樹頂点と単木樹冠情報の抽出と樹種判読を行ったが、2D情報を持つ衛星画像や航空写真から単木樹高とDBHの推定は不可能であった。この課題を解決するために、本研究は3D情報を持つ航空レーザデータとマルチスペクトル画像の組み合わせによる樹種別の立木位置、本数、樹高、DBH、材積とバイオマスを推定することができ、広域で多様な森林に適用される森林資源解析システムを確立することを目的として実施した。H29年度は立木密度と冠層構造が異なるカラマツ人工林を中心として、ドローンレーザデータを用いてH28年度に開発した樹冠抽出技術を改善した。単木の抽出率は林分構造によって78.4%~99.3%であった。推定した単木胸高直径の平均偏差は0.16~0.43cmであり、単木材積の平均偏差は0.012~0.026m3であった。そして、改善した樹冠抽出技術で航空レーザデータから広葉樹天然林の単木抽出を試した。航空レーザデータの点密度が不足のため、広葉樹樹冠の抽出が難しいであることがわかった。点密度の高いドローンレーザデータを用いて広葉樹の単木抽出を要検討である。さらに、広葉樹の樹種分類結果を改善するため、355本サンプル木の追加調査とマルチスペクトルカメラのドローン撮影を実施した。研究成果として、論文はThe International Archives of the Photogrammetry, Remote Sensing and Spatial Information Sciencesにオープンアクセスで掲載された。そして、第7回中部森林学会大会、国際写真測量学会のISPRS SPEC3D Workshopと第129回日本森林学会大会で研究成果を口頭発表した。
2: おおむね順調に進展している
研究の基盤となる高精度なデータの取得、ソフトウエアの更新、データの解析、研究成果の投稿と発表は計画通りに進んでいる。
予定した精度検証用の森林簿のデータの精度が低いため、推定した胸高直径と材積の精度検証は現地調査データに変更した。H29年度に得られた結果を基にして、異なる時期で撮影したデータの解析から樹種分類精度の改善を検討する。そして、今まで得られた結果を基いて、高精度な森林資源解析システムを確立する。
購入物品の納品日が次年度となったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は6月に納品予定の物品購入に使用する。H30年度請求額は当初の予定通り、物品購入や論文掲載料として使用する計画である。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)
The International Archives of the Photogrammetry, Remote Sensing and Spatial Information Sciences
巻: XLII-3/W3 ページ: 33-38
10.5194/isprs-archives-XLII-3-W3-33-2017
巻: XLII-3/W3 ページ: 95-100
10.5194/isprs-archives-XLII-3-W3-95-2017
巻: XLII-3/W3 ページ: 181-184
10.5194/isprs-archives-XLII-3-W3-181-2017