気候変動により森林を構成する樹木の種類が変わることが危惧されている。このような種組成の変化は人間社会に様々な影響を及ぼすため,将来の種組成を予測することが求められている。従来の予測モデルは,樹木の分布が気候などの環境条件で決まるという環境制限を前提としている。樹木の分布を決めるもう一つのメカニズムである散布制限(樹木の種子の散布距離が制限されていること)は無視されてきた。しかし,今日では各地の森林が分断化され,散布制限の重要性が高まっている。本研究は,環境制限と散布制限とを統合した群集モデルと大規模野外データとを結合し,将来の気候および森林の分断化の進行によって,アジアの熱帯から亜寒帯までの森林の種組成が実際にどのように変化するのかを予測する。 平成30年度は国内外の種組成データおよび形質データの収集を完了した。アジアのデータについては既存データや文献の収集を行った。これらのデータを用いた群集モデルの解析にむけて研究協力者と相談を進めた。収集データを用いた解析を学会発表した。
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