研究課題
【リグニン生分解に不全をきたす原因変異の特定】新たに5種類の突然変異体を分離し、ゲノムリシーケンスと遺伝分析を併用した方法を通して原因変異遺伝子を特定することができた。原因変異遺伝子としては、昨年度に引き続いて転写制御因子(DNA結合性転写因子およびクロマチン構造変換因子)が多かった。この結果に基づいて、野生株とリグニン分解変異体の間で比較RNA-seq解析を行った。その結果、複数のリグニン分解に関わりそうな遺伝子の転写発現が顕著に転写減少していた一方で、多数の多糖分解(主に結晶性セルロースの分解)に関わりそうな遺伝子の転写発現が、顕著に上昇していた。この結果は、リグニン分解系とセルロース分解系をダイナミックに転写レベルでスイッチする機構が存在することが示唆された。現在、上記で判明したセルロース分解酵素だと思われるタンパク質をPichia papastorisで異種発現させることを通して、本当にセルロース分解に寄与する酵素をコードしている遺伝子かを検証している。しかし、上記で特定されたリグニン分解に関わりそうな遺伝子(リグニン分解酵素とされているVP2、ならびに過酸化水素生成系い関わるとされているGLOXなど)を単独および二重遺伝子破壊を行ったが、顕著にブナ木粉中のリグニン分解能力を減少させるものは得られなかった。野生株における【多糖分解酵素遺伝子の破壊が、リグニン生分解に与える影響】本研究で用いてきたブナ木粉だけではなく、稲わら培地で培養した場合も含めて、各GH10, GH11遺伝子の単独および多重破壊株の腐朽能力比較を行うこととした。現時点では、野生株における各成分の減少量、菌体外酵素活性、遺伝子発現などを精査しているところである。
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