本研究では、白色腐朽菌ヒラタケを用いた順遺伝学および逆遺伝学アプローチによって、木質中のリグニン分解に重要な遺伝子の同定を試みた。新たに開発した効率的な順遺伝学実験によって、現在までに、リグニン分解能力に著しい欠陥をきたす変異遺伝子を、合計6種類同定することができた。また、主にヘミセルロース(キシラン)分解酵素であるGH10およびGH11をコードする遺伝子(合計5種類)の単独ならびに多重破壊株(最大3遺伝子破壊株)を作成し、これらのリグニン分解能力への影響を調査した。しかし現時点では、ブナ木粉培地中のリグニン分解能力が顕著に減少したものは発見できていない。
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