研究課題
昨年度に続き、本年度も飼育実験を継続し、アーカイバルタグを装着したウナギに給餌し、摂餌活動の検出法の確立を試みた。その結果、体温の上昇のみからでは摂餌活動を確実に検出することはできなかった。今後は、適切なタグの装着位置を再検討するとともに、加速度等のデータも使用して検出法を確立する必要があると考えられた。汽水湖である島根県出雲市の神西湖において、ニホンウナギを採集し、胃内容物調査によって汽水湖における本種の食性について検討した。その結果、全体の40%の個体から胃内容物が検出された。胃内容物が消化等の理由によって不明であった個体を除くと、胃内容物出現率はヤマトシジミ41%、その他の貝類4%、ゴカイ類33%、魚類22%であった。同湖においてバイオテレメトリーによってニホンウナギの活動特性について検討した。10個体に発信機を装着して放流したところ、ほぼ全ての活動は夜間に起こった。僅かながら昼間にも活動が見られたため、黄ウナギが昼間にも活動した日と活動しなかった日の昼間の光量子密度を比較したところ、昼間に活動した日の方が光量子密度が低かった。よって、黄ウナギの昼間に検出された活動は通常よりも暗い日に起こっていると推察された。黄ウナギの活動の有無は光量子密度と密接な関係を示し、活動が検出される確率は光量子密度の増加とともに低下した。以上より、黄ウナギの活動は光と密接な関係があることが確認され、僅かな光の違いで活動が変化する可能性が示唆された。黄ウナギのホームレンジは湖岸から沖合に向かって広がっている一方で、コアエリアは湖岸付近に集中した。胃内容物調査の結果から、本湖の黄ウナギは湖岸から数十mの礫質のエリアに生息するヤマトシジミを餌として主に利用しているため、この餌を利用するために黄ウナギは湖岸付近を分布の中心としているものと考えられた。
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巻: 印刷中 ページ: -
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