本研究は、エビ類の免疫系の一端を解明してウイルス病の新規診断法を確立し、エビ養殖においてこれまで実用化できていないウイルス病防除対策のブレークスルーを目指すものである。 平成28年度~平成30年度の3年間で、ウイルス感染時におけるクルマエビの免疫応答の一端を解明し、ウイルス病の指標となる遺伝子マーカーを作製する。平成29年度は、ウイルス感染時における宿主免疫応答の解析を試みるとともに、平成30年度の遺伝子検出系に関する予備実験を行った。 ウイルス感染時の宿主の遺伝子発現パターンを比較するため、水温25℃においてホワイトスポットシンドロームウイルス(WSSV:DNAウイルスモデル)および伝染性筋壊死症ウイルス(IMNV:RNAウイルスモデル)を用いた病原体感染試験を行い、継時的に臓器をサンプリングした後、RNA抽出を行い、次世代シーケンサーを用いてトランスクリプトーム解析を行った。また、平成30年度に行う遺伝子の検出方法(in situ ハイブリダイゼーション;ISH)の条件検討を行った。具体的には、ウイルス(WSSV)感染試験を行い、クルマエビの頭胸部および腹部において、WSSVのエンベロープ構成タンパク質の一つであるVP28をターゲットとし、数通りの実験条件でISHによるWSSVのVP28遺伝子の検出を試みたところ、先行研究の通り、胃の上皮細胞やリンパ様器官などでWSSVの核酸を検出することができた。
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