アカフジツボは発電所や船底に付着し大きな被害をもたらす海産無脊椎動物です。プランクトン幼生期と付着生活を送る成体期を持ち、プランクトン幼生期の最後はキプリス幼生と呼ばれ、付着に特化し、付着防除研究にとって最も重要な時期です。本研究では、キプリス幼生の行動や付着の制御機構を明らかにする目的で、キプリス幼生に発現する神経ペプチドを網羅的に調べました。その結果、キプリス幼生では、神経ペプチド前駆体をコードする11種の遺伝子の発現が明らかになりました。特にC末端にSIFamideを持つ神経ペプチドは発現量が高く分布が特徴的なことから、今後付着行動との関連を詳しく調べる必要があることが判明しました。
|