研究課題/領域番号 |
16K18750
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
松本 拓也 県立広島大学, 生命環境学部, 助教 (30533400)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フグ毒 / テトロドトキシン / 腸管吸収 / 尿中排泄 / トランスポーター |
研究実績の概要 |
フグ食中毒における毒成分の体外への排泄は,食中毒患者の血液や尿を分析した報告等から尿中排泄が主要な経路であると推定されるが,その詳細なメカニズムは解明されていない。そこで,本年度は,ブタ腎近位尿細管由来LLC-PK1細胞を用いて,フグ毒の主要成分であるテトロドトキシン(以下,TTXと略記)の尿中排泄メカニズムを評価した。すなわち,取り外し可能なカップ型ウェルの多孔性フィルター上にLLC-PK1細胞をシート状に培養後,トランスポーター阻害剤とTTX含む培養液を添加して,尿中排泄方向のTTX輸送量を測定した。その結果,有機カチオントランスポーターの阻害剤であるシメチジン添加区のTTX輸送量は,トランスポーター阻害剤を加えない対照区の6割まで有意に低下したことから,有機カチオントランスポーターがTTXを輸送していると考えられた。一方,薬物排泄トランスポーターMATEの阻害剤であるMPP添加区,セファレキシン添加区およびオキサリプラチン添加区のTTX輸送量は,対照区の85%から90%程度に低下したが,いずれも有意差は認められず,TTXの輸送にはMATEは関与しないと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブタ腎近位尿細管由来LLC-PK1細胞を用いて,フグ毒の主要成分であるテトロドトキシン(TTX)の尿中排泄メカニズムを評価した結果,TTXを輸送すると予想されるトランスポーターを有機カチオントランスポーターに絞り込むことができたため,計画立案時の内容をほぼ実行できていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の成果に基づき,TTXを輸送すると予測されるトランスポーターの発現ベクターを作成し,培養細胞にトランスフェクションしてトランスポーターを発現させた培養細胞を作製する。培養細胞に個別に発現させたトランスポーターについて,TTXの輸送活性を測定し,TTXの輸送への寄与率を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費およびその他の経費として計上した予算に余剰が発生したため,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬などの消耗品の購入費に充てる予定である。
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