研究課題
研究代表者らは,ブタ腎近位尿細管由来LLC-PK1細胞を用いて,TTXの尿中排泄メカニズムを評価した。その結果,有機カチオントランスポーターの阻害剤であるテトラエチルアンモニウム, L-カルニチンおよびシメチジン添加区のTTXの排泄輸送は,トランスポーター阻害剤を加えない対照区の4割から5割まで有意に低下したことから,有機カチオンを輸送するトランスポーターがTTXを尿中へ排泄していると考えられた。有機カチオンを輸送するトランスポーターであるSLC47に属する薬物排泄トランスポーターMATEsの阻害剤添加区では,TTX輸送量は対照区の9割程度に低下したが,いずれも有意差は認められず,TTXの輸送にはMATEsは関与しないと考えられた。以上の結果から,ヒトにおけるTTXの尿中排泄には,有機カチオンを輸送するトランスポーターであるSLC22に属するOCTsやOCTNsが関与すると考えられた。また,ヒトの腸管におけるTTXの吸収に関わるトランスポーターの探索については,ヒト腸管上皮由来Caco-2細胞によるTTXの吸収輸送阻害実験を行った結果,有機アニオン輸送ポリペプチドOATPs,薬物排泄トランスポーターMRPsおよび有機カチオントランスポーターOCTsの阻害剤添加区でTTXの吸収輸送に阻害効果が見られた。そこで,これらのトランスポーターを過剰発現させたイヌ腎臓由来MDCK II細胞を構築し,TTXの輸送と細胞内蓄積を評価した。OCT1発現細胞およびOATP2B1発現細胞では,TTXの細胞内蓄積量は,対照区の約1.5倍および約2.2倍に達し,OCT1とOATP2B1はTTXを細胞内に取り込み,TTXの細胞内蓄積を促進していることが示唆された。また,MRP3発現細胞のTTX輸送活性は,対照区と比べて約2倍に達したことから,MRP3はTTXの輸送に関与していることが示唆された。
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Fisheries Science
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