フグ毒テトロドトキシン(TTX)の腸管吸収や尿中排泄に関する知見はほとんどない。フグ毒が,ヒトの体内へどのように吸収され,排泄されるのかを明らかにすることが食中毒対策として必要であるため,本研究を実施した。本研究で得られた成果は,フグ食中毒の治療法の開発に進展する可能性がある。即ち,TTXの腸管吸収に関与するトランスポーターを特異的に阻害することでTTXの腸管吸収を抑制し,血中TTXレベルを低下させることができれば,致死率の低下や症状の緩和が望める。さらに,今回明らかにした尿中排泄に関与するトランスポーターを活性化させる何らかの方法が確立できれば,TTX の排泄を促進して早期回復が期待できる。
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