本研究は、近年展開が進む一般企業の農業参入について実態調査に基づいて分析し、地域農業に担い手として農業参入企業の役割と位置づけについて検証した。本研究の成果は以下の通りである。一つは、農業参入企業は全国に展開が進む中で、誘致政策に積極的な県や農産物の大消費地に近い県において農業参入が集中している。二つは、農業参入企業の農業経営の特徴は、加工・販売等の流通過程では独自の取組を見ることができるが、農業生産面では既存の農業者と大きな違いを見ることが難しい点である。三つは、農業参入企業は我が国の土地利用と農業生産を変革する存在ではなく、地域農業における他の農業者と同じような担い手として位置づけられる。
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