| 研究課題/領域番号 |
16K18760
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| 研究機関 | 東京農業大学 |
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研究代表者 |
野口 敬夫 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (70584564)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | 食肉産地 / サプライチェーン / バリューチェーン / 農協系統 / 構造 |
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| 研究実績の概要 |
令和元年度には国産食肉サプライチェーンの構造について取り纏めを行った。まず、農業市場論やフードシステム論の分野で蓄積されているチェーンの構成主体や主体間関係に焦点をあてた研究をサーベイし、定性的実証分析のアプローチについて取り纏めた。
次に、フードシステムの基礎条件として、①需要・供給、②政策・補助事業の2点を整理した。その上で参入状況、経営体の規模分布・集中度、差別化などの競争構造と、資本関係や取引関係などの連鎖構造について分析を行った。
食肉の連鎖構造は垂直的調整について整理したが、この点については先行研究を基礎としつつも、先行研究で整理されていない2000年以降の約20年間の変化を中心に取り纏めた。その上で、連鎖構造をバリューチェーンとして把握し、その類型的特徴を明らかにした。これらについては、既存文献、各種統計及び報告書、行政や業界団体へのヒアリングをもとに分析した。連鎖構造をみると、食肉市場経由が縮小しているが、市場外取引でも食肉中央卸売市場の価格が指標とされることが多く、需給変動や牛肉格付等のなかで基本的な価値は形成されるが、生産者や卸売・加工業者が多様な類型のバリューチェーンを形成することでコスト削減や高値販売を進め、付加価値の創出を図っている。
さらに、コスト優位性をもたない中小規模の家族経営を組合員として抱える農協系統組織の構造について分析を行った。日本で有数の産地である鹿児島県、岩手県、宮城県に調査を実施し、繁殖・肥育経営から処理・販売に至る関係主体の実態について取り纏めを行った。牛肉では子牛価格の高止まりが続くなか、農協系統は繁殖増頭対策に取り組み、直営農場や肥育預託など生産基盤事業に重点が置かれている。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度では、取り纏めにあたって分析手法、チェーンの構造全体を把握する上で必要な資料の再整理を行った。また、これまで実施してきた農協系統組織に関する素畜供給、生産、処理・流通に関する調査の分析を行い、研究論文の作成も概ね計画どおり進んでいる。ただし、研究を取り纏めるのに必要な補足調査が実施できなかったため、次年度に延長することとなった。
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| 今後の研究の推進方策 |
補足調査が終了次第、論文を完成させる。食肉サプライチェーンの構造の現段階及び課題を総合的に解明し、今後日本の食肉産業がどのような展開方向をとるべきかについての提言を取り纏める。また、研究の取り纏めにあたっては、畜産物の流通・フードシステム、マーケティングなど多数の研究者から意見を求める。さらに関連学会への論文投稿や、行政、業界団体、生産者団体、企業などと意見交換を行うことで、研究水準の高度化に努める。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
本研究では今年度穀物・畜産物流通企業への実態調査を行い論文に纏める予定であったが、調査先である企業内の組織・事業再編により調査が実施できなかった。
調査先は来年度であれば実態調査への対応が可能であることを確認しており、本研究に必要不可欠な調査であるため、補助事業期間の延長を申請した。また期間延長によって研究のさらなる高度化を図り、本研究の目的をより精緻に達成するため未使用額はその経費に充当したい。
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