農地の有効利用に対する共同体による非公式の制度に関して、日本の集落営農をCommunity-Based Organizationsの一つとして位置づけ、農林業センサスの大規模データを分析することによって、集落営農による農地集積が行われる条件を明らかにした論文を、2022年に査読付き国際学術誌(International Journal of the Commons)にて発表することができた。同学術誌には、2018年にも、農地集積のために必要とされる公式・非公式の制度の条件に関する理論的な論文を掲載している。これら2本の査読付き論文を中心とした研究によって、研究課題の一つである「農業集落が農地利用調整に果たす機能に関する分析」については、重要な成果を挙げることができた。また、研究期間全体を通じて、多くの国際学会・国際シンポジウム等に参加して研究成果を発表することができた。例えば、2019年に行われた地域農林経済学会大会・国際シンポジウムでは、日本・中国の農地制度の比較分析についての発表を英語で行っている。また、台湾を中心とした東アジア諸国の農業政策との比較研究についても研究成果を発表した。これらの成果により、研究課題の一つである「公式・非公式の農地制度に関する知見の総合化と国際比較」についても重要な成果を挙げることができた。 新型コロナの影響に伴う研究期間の延長があったものの、オンラインでの活動を含む様々な研究活動と研究成果の発信を行い、全体としては十分な成果を挙げることができたと考えている。
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