本研究では、(1)内食(家庭食)、中食、外食といった食事形態の規定要因の検証と、(2)そうした食事形態が栄養素摂取へ及ぼす影響の検証の2点を課題としている。そのうち最終年度である2019年度は、課題(2)である食事形態が栄養素摂取へ及ぼす影響を明らかにし、それまで得られた成果について2回の学会報告を行うと共に、査読付きである所属機関の雑誌『農林水産政策研究』へ成果を投稿し受理された。 具体的には、Webアンケート調査によるデータをもとに、消費者属性が食事形態を規定し、食品群・栄養素摂取へ影響を及ぼすとするモデルを構造方程式モデリングで解析した。そこでは、内食が野菜摂取へ正の影響を及ぼし、食塩相当量へ負の影響を及ぼすことを確認した。またおにぎり等の中食(主食)が野菜摂取量、食塩相当量、たんぱく質エネルギー比へ負の影響を及ぼし、炭水化物エネルギー比へ正の影響を及ぼしていた。外食は、炭水化物エネルギー比へ負の影響を及ぼしていた。このように、食事形態が栄養素摂取量へ及ぼす影響を確認できた。更に、直接・間接効果の検証により、年齢が高いほど内食が多いため野菜摂取量が多くなり、若年層において内食頻度の拡大が野菜摂取量の改善に効果がある点や、食費が低い層では食事形態に関わらず脂質エネルギー比や炭水化物エネルギー比の増加が高く、フードスタンプ等の直接的な支援が求められる点を明らかにした。 このように、本研究では最終的に栄養素摂取量の改善に有用な情報の提示に貢献しており、広く活用されるべき成果を得られたと考えている。
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