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2018年度は、第一に、研究初年度から取り組んできた横浜市内産農産物の生産量および生産額についての推計作業に対して、これまでの現地調査から明らかになってきた市場外流通の実態を踏まえて、より精緻化を図った。他地域で用いられてきた推計手法との異同を確認しつつ、横浜市農業の実情にあった推計手法に基づき、さらには、横浜市の市場外流通における取引価格や生産者の出荷状況を加味して、最新の生産量・生産額を推計した。その結果は、農水省公表の推計結果と非常に近い数値を示しており、実態を反映した推計値として、活用することが可能となった。
第二に、流通事業者へのヒアリング調査を行い、流通経路や流通量・金額についての情報収集に努めた。さらに、JA直売所を中心とした流通実態についてもこれまで有するデータセットを用いて、その流通範囲を測定し、直売所を起点とする3～5km内で生産と消費が生じていることを明らかにした。
第三に、これまでに取り組んできた地域経済循環を定量的に測定する企業間取引データを用いて、地域経済間を流れるお金の動きについて分析を進めた。企業間の取引金額を、同一市町村内、同一都道府県内、近隣都道府県内、全国といった4つの取引エリアに分類し、各市町村単位の取引圏域を定量的に解析した。
2018年度は全体として、前年度までに得られた成果も活用しながら、これまでの試行的な取り組み方向を精緻化し、論文として発表するなど、研究成果に結び付けることができたと考えられる。また、地域の農産物流通の実態を示す統計データが不足するなかで、新たにデータ収集する手法について検討を進めた結果、独自のアプリケーション開発を目指す形で、本研究課題を再構築し、新たな研究課題を設定することとなった。
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