研究課題/領域番号 |
16K18773
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
皆川 明子 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (70603968)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 魚溜工 / 土砂 / 洗掘 / 農業排水路 |
研究実績の概要 |
対象地の圃場整備事業後5年分のデータが蓄積された工区を対象に、5年間の魚類の個体数・種類数の推移をとりまとめた。その結果、排水路に施工された環境配慮施設は魚類の越冬場、退避場として一定の効果を発揮しているものの、繁殖場としてはほとんど機能しておらず、現状では水路に生育した雑草や寄洲がミナミメダカの貴重な繁殖場となっていること、これらの産卵基質は維持管理により除去されており、繁殖環境がぜい弱な状況であることが明らかとなった。 また、農業水路に施工されている生態系配慮施設である「魚溜工」の堆積土砂の排出を促進するため、水理模型を用い、施設下流端に角スロープをつけて出水時の土砂の洗掘実験を行った。スロープ角を10度、20度、30度に設定し、スロープ無しの場合と比較した結果、スロープを付けた場合は無しの場合よりも有意に多くの土砂が洗掘され、スロープ角間には有意差が見られなかった。このことから、排水路の組み立て柵渠の1スパン分に相当する施設長約5mの魚溜工には、30度のスロープを付けることが妥当と判断された。 一方、組み立て柵渠の2スパン分に相当する約10mの模型で実験を行った際には、スロープ角30度ではスロープ無しの場合と土砂洗掘量に有意差が認められなかった。そのため、施設長とスロープ長の比が洗掘の効果に関係するのではないかと考え、最終年度に実験を行うことにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
魚溜工のスロープ角度を変えた実験を、予定のところまで完了することができたため。 また、圃場整備後、最大5年分のデータの蓄積のある工区についてデータのとりまとめが完了し、学会発表の見通しがついたため。
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今後の研究の推進方策 |
魚溜工の施設長とスロープ長の比が洗掘に影響するかを模型実験により解明し、最適な魚溜工のモデルを明らかにする。 また、最大6年分のデータを元に対象地において行われた圃場整備事業における環境配慮の評価を行い、必要に応じて改善策の提案を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度に育児休業を取得し、研究期間を1年間延長したため。
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