研究課題/領域番号 |
16K18775
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
吉田 龍平 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (70701308)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 冷害予測 / アンサンブル予報 / 東北地方 |
研究実績の概要 |
東北地方を対象とした冷害の予測実験を進めた。特に、2000-2009年で最も強い冷害年であった2003年を中心に解析を行い、気温と冷却量の予測精度の関係を調べた。東北地方の夏季における日々の気温の変動幅は約2℃であり(AMeDAS観測値)、これは気候値予報、単独予報、アンサンブル予報のいずれにおいても同程度の変動幅であった。しかし、気温の変動パターンの再現性は予報の種類によって大きく異なり、AMeDASの日平均気温に対する単独予報やアンサンブル予報の相関係数は0.5程度である一方、気候値予報では0.1程度まで低下していた。そのため、気候値予報では2003年に発生した冷害を予測することがほぼできなくなっていた。物理法則に基づいて行われる単独予報やアンサンブル予報では観測された冷却量の季節変化を捉えることができていた。また、本システムでは9つのアンサンブルメンバーからなる冷却量予測を行っているが、単独予報に対するアンサンブル予報(9メンバー平均)の予測誤差の低下は10%前後であり、気候値予報を用いるかあるいは物理法則に基づく単独/アンサンブル予報を用いるかの予測誤差の違い(約20%)よりも小さかった。得られた成果として、東北地方の夏季の気象予測において気候値予報を用いても日々の気温変動の幅自体を予測することは可能であるものの、冷害予測のような対象日の気温がしきい値を下回るかどうかが重要な場合には数値予報モデルに基づく予報データを使用することが特に重要であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で構築した冷害予測システムは過去の強い冷害(2003年)に対する高い予測可能性を示したものの、検証に用いた年数が少なくシステム全体の精度評価として不足している。そのため、複数の年を対象に予測実験を行い、冷害の予測可能性を評価する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
追加の冷害予測実験を行い、予測精度に最も影響を与える地上気象要素(気温、日射、湿度等)を明らかにする。各気象要素の不確実性が水稲生育および冷害予測に与える影響を定量的に評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究のアンサンブル冷害予測システムは過去の強い冷夏に対して1週間程度の予測可能性があることが明らかになった。より普遍的な予測システムとするため、対象期間を拡大して過去10年に対する予測精度の評価が不可欠である。追加の予測実験を行うために事業期間の延長が必要となった。得られる計算データを保存するためにハードディスクが必要で、次年度使用額はハードディスクの購入費として用いる。そのほか、日本気象学会および農業気象学会への参加、および国際誌への投稿料として使用する。
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