アンサンブル気象予測を用い,東北の過去の夏(2000-2009年)における冷害の予測実験を行った.摂動を用いない単独予報は過去の観測値のみから構成される気候値予報に対して誤差が低い状態を5日間維持し,アンサンブルを用いることで気候値予報に対する優位性が2日延長された.しきい値を下回った気温の積算から得られる冷却量は,単独予報とアンサンブル予報いずれも14日の予報期間を通して気候値予報よりも優れていた.水稲の冷害予測には,気温変動の幅の絶対値だけでなく,日々の変動パターンが再現できていることが重要であることが明らかになった.
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