研究課題
本研究は、骨格筋のβ2アドレナリン受容体(β2-AR)シグナルの役割の解明を目的としている。H29年度は、β2-ARの作用機序を詳細に解明するために、培養骨格筋細胞(C2C12細胞)を同受容体の作動薬(クレンブテロール)で刺激し、β2-ARとその下流シグナルによるタンパク質分解の抑制機構の解明を試みた。β2-ARシグナルの活性化は、FoxO1のリン酸化割合の増加に加えて、FoxO1 mRNAおよびタンパク質の発現量を急速に減少させることが判明した。続いて、β2-ARシグナルの活性化による急速なFoxO1 mRNAの発現量減少の作用機序解明を目的として、microRNAのマイクロアレイを行った結果、β2-ARシグナルの活性化により103種のmicroRNAの発現量が有意に変動することが明らかとなった。103種のmicroRNAからFoxO1 mRNAの3’UTR領域への結合が推測された4種のmicroRNAを選抜し、C2C12細胞へのトランスフェクションを行った。そのうちの2種のmicroRNAの導入により、FoxO1 mRNAの発現量が減少することを明らかとした。これらの結果より、β2-ARシグナルの活性化による骨格筋タンパク質分解の抑制は、既知のリン酸化を介したFoxO1の転写活性の抑制に加えて、microRNAによるFoxO1 mRNAの発現量の減少を介してFoxO1タンパク質を減少させる2つの経路を介して誘導される可能性が示唆された。
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Comparative Biochemistry and Physiology, Part A
巻: 211 ページ: 1-6
doi: 10.1016/j.cbpa.2017.05.013.