研究課題/領域番号 |
16K18785
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
野口 倫子 麻布大学, 獣医学部, 講師 (40506721)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ブタ / 初乳 / 泌乳制御 |
研究実績の概要 |
ブタは、胎盤を介した母体から胎子への抗体の移行が行われないため、分娩後の子ブタにとって質の良い初乳を十分量摂取することは、その後の生存性および発育性に大きく影響する。しかし、何らかの理由で子ブタが本来必要とする栄養ならびに抗体が含まれる乳を十分得られない場合、このような子ブタを育成可能な画期的な代替法は存在しない。 我々は、これまでに、ブタの妊娠認識機構を利用し、持続性エストロジェン製剤(EDP)の単回投与によりブタに妊娠様状態(偽妊娠状態)にさせることが可能であることを明らかにした。本研究は、この偽妊娠豚に対し、乳腺発達を目的としたエストロジェン投与を行うことによる泌乳誘起の可能性に着目し、偽妊娠豚へのEDPおよびPGF2α投与による人工初乳の作出条件を検討し、簡便かつ安定的に人工乳を得る技術を開発することを目的としている。 今年度は偽妊娠豚にホルモン剤を投与することで、泌乳誘起が可能であることが明らかとなった。しかし、効率よい泌乳制御モデル作出のためのEDPおよびPGF2αの投与条件については継続して検討中である。また、偽妊娠豚から得られた乳汁中の免疫グロブリン(IgGおよびIgA)濃度は、泌乳開始後時間とともに急激に減少することが判明した。なお、泌乳誘起後1日目の偽妊娠豚から得られた乳汁中のIgGおよびIgA濃度は、分娩後0日目の分娩豚から得られた乳汁中のものと同等であることが示されたことから、偽妊娠豚から得られた乳は代用初乳となりえる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、まず偽妊娠豚において、人工初乳が作出可能なEDPおよびPGF2α投与条件の検討(H28~29年度)を行い、得られた人工乳の成分解析(H29年度)を行う予定である。今年度は人工初乳作出のための条件検討がおおむね順調に進んでおり、進行状況に問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、人工初乳作出のためのホルモン剤の投与条件検討を継続して行うとともに、得られた血液および乳成分の解析を行い、偽妊娠豚を応用した泌乳制御モデルの作出技術の確立を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定のプレートが海外からの輸入であり、期日までに納品が間に合わなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
購入予定のプレートの購入費として使用
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