乳牛の発情・排卵障害の原因として慢性ストレスの関与が指摘されている。本研究では、慢性ストレスが牛の繁殖機能に及ぼす影響を明らかにするとともに慢性ストレスを臨床的に評価する方法として被毛コルチゾール濃度の分析に取り組んだ。まず、シバヤギに副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を実験的に投与して血中コルチゾール濃度を増加させた結果、排卵卵胞の直径が増加し、卵胞の発育に影響を及ぼすことが示唆された。次に乳牛の分娩前後の被毛コルチゾール濃度を調べた結果、栄養状態や飛節スコアとの関連が認められ、初回授精の遅れや空胎日数の延長した牛では被毛コルチゾール濃度の変動パターンが正常牛とは異なることが認められた。
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