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2017 年度 実施状況報告書

犬尿路感染症原因菌の薬剤感受性判定基準に関する検討:臨床的ブレイクポイントの確立

研究課題

研究課題/領域番号 16K18804
研究機関鳥取大学

研究代表者

原田 和記  鳥取大学, 農学部, 准教授 (80549543)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード尿路感染症 / 犬 / 抗菌療法
研究実績の概要

本年度においては、昨年度に引き続き複数の動物病院の協力の下、犬の尿路感染症症例からの尿検体の採取、投与された抗菌剤とその治療結果に関する情報の集積を行った。その結果、これまでに165症例分の尿検体が収集され、分離した菌株数は190株に至っている。そのうち、45株が基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生菌を含む多剤耐性菌であることを確認した。多剤耐性菌は、初発症例137頭中30症例および再発症例29頭中9症例から分離され、両者の間に有意差は認められなかった(P>0.05)。従って、初発症例であっても多剤耐性菌の存在を考慮した治療が推奨されることが示唆された。
また尿路感染症に対する抗菌薬の臨床的有効性を評価する上で重要視されているUrinary bactericidal Titerを、ヒト用抗菌薬であるアモキシシリン・クラブラン酸、ホスホマイシンとファロペネムに関して、実験犬を用いた投薬試験にて測定した。供試菌は、犬の尿由来基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌とした。結果として、アモキシシリン・クラブラン酸及びファロペネムは投与後12時間で尿中の殺菌力は著しく低下した。一方で、ホスホマイシンではそれら2薬剤と比較して、12時間後でも高い尿中殺菌力を示す結果となった。以上のことから、犬の基質特異性拡張型βーラクタマーゼ産生菌による尿路感染症の治療において、アモキシシリン・クラブラン酸およびファロペネムにおいては最低でも1日2回投与が推奨され、ホスホマイシンは1日1回投与でも十分な効果が得られる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

犬の尿路感染症における検体収集の状況が少し落ち着き気味であるため。

今後の研究の推進方策

これまで以上に、学会や講演会等で協力動物病院をさらに募ることとする。また、近隣の動物病院に対しては直接的に協力を呼び掛けることとする。

次年度使用額が生じた理由

必要な消耗品が購入できるほどの残額ではなかったため、翌年度への残金とした。この残金は非常に少ないため、翌年度の助成金と合わせても、その使用計画に大きな変更はない。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Assessment of urinary pharmacokinetics and pharmacodynamics of orbifloxacin in healhty dogs with ex vivo modeling2017

    • 著者名/発表者名
      Shimizu T, Harada K, Manabe S, Tsukamoto T, Ito N, Hikasa Y.
    • 雑誌名

      Journal of Medical Microbiology

      巻: 66 ページ: 616-621

    • 査読あり
  • [雑誌論文] In vitro efficacy of 16 antimicrobial drugs against a large collection of β-lactamase-producing isolates of extraintestinal pathogenic Escherichia coli from dogs and cats.2017

    • 著者名/発表者名
      Shimizu T, Harada K, Tsuyuki Y, Kimura Y, Miyamoto T, Hatoya S, Hikasa Y.
    • 雑誌名

      Journal of Medical Microbiology

      巻: 66 ページ: 1085-1091

    • 査読あり
  • [学会発表] 犬尿路感染症由来基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌に対するファロペネムの抗菌活性評価2017

    • 著者名/発表者名
      宮下尚己、清水孝恵、原田和記、日笠喜朗
    • 学会等名
      第160回日本獣医学会学術大会

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公開日: 2018-12-17  

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