研究課題/領域番号 |
16K18811
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 健 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (30749643)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 神経科学 / フェロモン / キスペプチン / GnRH |
研究実績の概要 |
本研究では、生殖中枢を構成するニューロン群の活動を記録し、フェロモンを受容した際のそれらのニューロンの応答を解析するとともに、その応答を指標にしてフェロモン分子の同定を行うことを目的とする。そのため、電気生理学的手法と光遺伝学的手法を組み合わせによって、特定の神経核において特定の遺伝子を発現するニューロンの活動を、自由行動下のマウスで記録するシステムを構築する。 本年度は、生殖中枢であることが予想される、視床下部弓状核のキスペプチンニューロンの記録システムの構築を目的とした。まず、DNA組換え酵素Creをキスペプチンニューロンに発現するマウスを用いて、アデノ随伴ウイルス(AAV)をベクターとして、Cre依存的にチャネルロドプシン2(ChR2)を発現させることを試みた。適切な血清型のAAVを用いることで、弓状核のキスペプチンニューロンにChR2を発現させることが可能となった。また、32チャネルのテトロード電極を用いたin vivoの神経活動記録システムを構築した。ただし、弓状核への電極の留置が難しく、キスペプチンニューロンの記録には、まだ成功していない。 電気生理学的手法と並行して、カルシウムイメージング系の確立も行った。キスペプチンニューロンにカルシウムセンサータンパク質であるGCaMP6をAAVを用いて発現させ、光ファイバーを用いたカルシウムイメージングを行なった。その結果、数十分ごとのバースト状のカルシウムシグナルの上昇が認められた。これは生殖中枢に特徴的な、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)のパルス状分泌に対応すると考えられ、キスペプチンニューロンがこのパルス状分泌の制御を行なっている、つまり生殖中枢であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cre依存的に弓状核の特定のタイプのニューロンにチャネルロドプシンを発現させること、及びin vivoの神経活動記録系は立ち上げることができた。また、光ファイバーを用いたカルシウムイメージングにより、生殖中枢に特徴的な神経活動を記録することができた。以上のように、手法を追加することによって、本年度の目標を達成することはできたので、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
カルシウムイメージングによるキスペプチンニューロンのin vivo記録に加えて、単一細胞分解能の電気生理学的手法でも記録を可能にする。これらのシステムを用いて、雄マウス尿へのキスペプチンニューロンの応答を解析する。キスペプチンニューロンの活動が促進されることが認められたら、雄尿を種々の分析化学的手法による分画と質量分析を組み合わせ、この効果に寄与する成分を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は電気生理学的手法、カルシウムイメージング、マウス視床下部へのウイルスインジェクションや電極またはファイバーの留置について、条件検討が主な作業であったため、消耗品の使用が少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
電極やカルシウムイメージングに用いる部品や、フェロモンを精製する際のカラム類、及びマウスの購入に用いる。
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