研究実績の概要 |
腸管粘膜内に存在する様々な間質細胞(telocyteや、より広範な細胞集団である線維芽細胞様細胞(FBLC)など)に関する組織学的解析を行い、以下の通り学会・学術雑誌等で公表した。 ①小腸の腸陰窩底部に存在するPaneth細胞が基底側に細胞突起を伸長すること,telocyteに相当する細胞がこの細胞突起と接触することを見出し,この細胞がPaneth細胞の機能の制御に重要である可能性を明らかにした(Mantani et al., 2018, Anat. Rec.)。 ②回腸パイエル板において、円蓋域の間質系の細胞がRANKLを発現し、M細胞の分化に必要であると考えられる「上皮細胞のアポトーシスの抑制」に貢献している可能性を見出した(Yuasa et al., 2017, J. Vet. Med. Sci.). ③ラットの回腸腸陰窩周囲に存在するFBLCをSerial Block face-走査型電子顕微鏡を用いて三次元的に観察し,4種類のFBLCが存在していることを明らかにした(Mantani et al., 2019, J. Vet. Med. Sci.)。 ④間質系の細胞は免疫担当細胞の局在の制御にも重要であることが想定されるため、リンパ球の動態に関する研究も実施した。その結果、小腸内における常在細菌の腸絨毛間隙への侵入に伴い、様々なリンパ球の局在が変動することを見出した(Yuasa et al., 2019, J. Vet. Med. Sci.)。 ⑤小腸粘膜内の様々な上皮下FBLCに神経線維が投射することを明らかにするとともに(Mantani et al., 2019, J. Vet. Med. Sci.)、その神経線維に含まれる神経伝達物質の詳細を免疫組織化学的に明らかにした(第161回日本獣医学会学術集会などにて公表)。
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