研究課題/領域番号 |
16K18816
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
浜崎 伸彦 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (10757008)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | in vitro oogenesis / Oocyte differentiation / Totipotency / Developmental capacity / Transcriptome |
研究実績の概要 |
本年度は、多能性幹細胞であるES/iPS細胞から、始原生殖細胞、そして卵細胞へと完全in vitro条件下で分化誘導する培養系の開発を行った。これにより、数の制約なく、非侵襲的かつ連続的に卵形成過程を制御できるようになるプラットフォームを提供できる。これにより、卵母細胞形成機構を明らかにしていくことができ、ひいてはこの培養系を用いることで不妊や卵形成不全といった病態の解明に貢献することが期待される。 申請者らは種々の基礎培地と、添加物を検討し、始原生殖細胞から卵母細胞へと分化させることのできる培養系を構築することに成功した。このin vitro卵母細胞を生体でつくられた卵母細胞と比較するために、微量RNA-seqを行った。その結果、in vitro卵母細胞は生体由来卵母細胞と極めて近い遺伝子発現パターンを示した。このことから、in vitro卵母細胞は正常な発生能を持っていることが推測された。実際に、これらの卵母細胞を受精させて、成体マウスに移植したところ、発生率は低いものの、健常な産仔が得られた。 以上のことから、多能性幹細胞であるES/iPS細胞から、始原生殖細胞を経て、卵母細胞へと分化させる培養系の構築に成功したと言える。以上の知見をまとめ、論文として報告した (Hikabe et al., Nature, 2016)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、多能性幹細胞であるES/iPS細胞から、始原生殖細胞、そして卵細胞へと完全in vitro条件下で分化誘導する培養系の開発を行い、その評価をRNA-seqにより、行う予定であった。申請者らが多数の条件検討を行ったところ、最適な培養条件がその中にあることが明らかになった。申請者に微量RNA-seqの経験が豊富にあったため、サンプル採集も滞りなく進み、質の高いRNA-seqライブラリを短期間で作成することが出来た。このRNA-seqによる評価で、生体由来卵母細胞と同等であることが示され、これをもって、本年度の研究計画は前倒しで完了した。さらに、in vitro卵母細胞の機能性を調べるために、in vitro受精させ、成体マウスに移植したところ、発生率は低いものの、健常な産仔が得られた。以上のことから、多能性幹細胞であるES/iPS細胞から、始原生殖細胞を経て、卵母細胞へと分化させる培養系の構築にまで成功した。従って、本研究は当初の計画以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はin vitro卵と生体由来の卵母細胞との比較から浮かび上がってきた候補遺伝子について、詳細な機能解析を行い、全能性構築に必要な因子の同定を行う。そのために、マーカー遺伝子のレポーターES細胞を作製し、評価系に組み込むことで、系の再現性と信頼性をさらに高める。
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