研究課題/領域番号 |
16K18817
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
吉川 泰永 北里大学, 獣医学部, 講師 (00552043)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サイレンサー / 転写抑制因子 / BRCA2 / 癌抑制遺伝子 |
研究実績の概要 |
イヌ乳腺腫瘍発症の抑制遺伝子産物であるBRCA2は相同組換え修復に貢献することで細胞の腫瘍化を防いでいる。近年、BRCA2の発現量の低下が腫瘍発症と関係することが報告され始めている。申請者はイヌBRCA2のイントロンに新規サイレンサー配列が存在することを予備的な実験により発見した。この配列はBRCA2の発現制御に関与し、この制御機構の異常は腫瘍発症と関係すると考えられる。本研究計画では新規サイレンサー領域に相互作用する転写抑制因子を同定し、この転写抑制因子によるBRCA2の発現制御機構を解明することを第一の目的として、平成28年度の研究を行った。 予備的研究により発見していたBRCA2のイントロンの一部(500 bp)に存在するサイレンサー配列がどの領域に存在するのかを50 bpの長さで限定することができた。すなわち、ルシフェラーゼを用いたレポーターアッセイにより、この50 bpが存在するとBRCA2のプロモーター活性は、著しく減弱した。 サイレンサー配列が存在する領域を50 bpの長さで限定したので、次にどの様なタンパク質が相互作用することが可能であるか生化学的な手法により同定した。すなわち、サイレンサー配列を含む50 bp、または、サイレンサー活性を持たない50 bpを結合したアガロースビーズを用いて、HeLa細胞の核タンパク質抽出液から相互作用するタンパク質を精製した。精製したタンパク質群の中で、サイレンサー配列を含む50 bpに特異的に相互作用しているタンパク質を質量分析により数種類同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りにサイレンサー配列を含む領域の限定をすることができ、さらに、そこに相互作用していると考えられるタンパク質を同定できたため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、同定したタンパク質を発現する細胞を作製中であり、今後、この細胞を用いてChIPアッセイを行う事で、細胞内でも相互作用することを証明する予定である。また、この細胞を使い、レポーターアッセイを行う事で実際にプロモーター活性に影響を与えているのかも調べる。 明らかにサイレンサー配列に相互作用し、プロモーター活性に影響を与えるタンパク質を同定する事が出来たら、腫瘍発症との関係性を調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
効率的な試薬等の購入が行えたため、少額の差額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度においても試薬等の購入が必要なので、併せて使用する予定である。
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