研究課題
本研究は、これまで外胚葉由来と考えられてきた内分泌器官である下垂体前葉に関して、第四の胚葉として注目を集める神経堤細胞がその起源の一部を構成する可能性を検証し、下垂体組織幹細胞における多様性や新たな特徴を解析するものである。前年度までの研究から、神経堤細胞の運命追跡が可能な遺伝子改変マウス(P0-Cre/flox-EGFP)の下垂体を用いることで、下垂体細胞(5種類のホルモン産生細胞ならびにSOX2陽性の未分化細胞)の約10%が神経堤細胞由来であること、また、一部の神経堤由来細胞がカルシウム結合型タンパク質S100bを発現する細胞して存在することを見出した。さらに、これらS100bを発現する細胞の中に、下垂体ホルモン産生細胞だけでなく、中胚葉や内胚葉系といった胚葉を超えた分化能を有することを見出した。本年は、このS100bの多くがSOX2陽性であることに着目し、S100b/SOX2陽性の幹・前駆細胞の単離と形態的特徴の解析を行った。過去に我々が構築している単離法に従い(Yoshida et al., Stem Cell Res. 2016)、S100b/SOX2陽性細胞を細胞塊として単離した。本細胞塊の遺伝子発現を解析した結果、tight junctionに関連する分子が高く発現していることを見出した。さらに、電子顕微鏡観察、ならびに免疫組織染色の結果から、SOX2陽性塊はTight junctionにより強固に結合しているといった特徴を有する集団であることを見出した。しかし、この特徴は、S100bの発現有無に寄らないSOX2陽性細胞塊の特徴であることも同時に見出した。本内容は、下垂体SOX2ならびにS100b 陽性細胞の特徴的構造として、原著論文として準備中である。
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