研究課題/領域番号 |
16K18826
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
坪田 拓也 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門 新産業開拓研究領域, 主任研究員 (00612772)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ゲノム編集 / TALEN / カイコ / 遺伝子組換え / 遺伝子発現制御 |
研究実績の概要 |
本研究はゲノム編集技術の一つであるTALENを応用し、カイコで遺伝子の発現制御を行うことを目的とする。カイコではRNAiによる遺伝子ノックダウンを行うことが著しく困難であることから、その代替技術としてTALENの制限酵素部位FokIと転写抑制因子のリプレッサードメインとを差し替えたTALERタンパク質が利用可能かどうかを明らかにする。H28年度はまず標的遺伝子の選定を行い、後部絹糸腺で発現する絹タンパク質遺伝子h-fibroinおよびその発現を制御する転写制御遺伝子Arrowheadの2つを標的とすることとした。カイコで樹立されているGAL4系統AyFib-431aは、後部絹糸腺で幼虫の初期の段階からGAL4を発現しており、この系統を用いることで後部絹糸腺で効率よく遺伝子抑制を行うことができるものと見込まれる。h-fibroinおよびArrowhead遺伝子のプロモーター部位のゲノムシーケンスを、組換えカイコ系統を樹立する白C系統より決定し、それらを標的とするTALENを構築した。続いて、ショウジョウバエで遺伝子発現抑制に用いられている転写抑制遺伝子hairyのカイコホモログを検索し、BGIBMGA005390がそれに該当することを見出した。BGIBMGA005390の転写抑制ドメインを単離し、上記で作出したTALENのFokIと差し替えてTALERを構築した。このTALERをUASベクターに挿入し、カイコに導入するためのコンストラクトとした。次年度は、このコンストラクトをカイコに注入し組換えカイコ系統を作出することを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
標的ゲノム部位の配列の決定や、TALER発現コンストラクトの作製は問題なく進んでおり、予定通り進捗していると言ってよい。
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今後の研究の推進方策 |
TALERを発現するUAS系統が作出できたら、AyFib-431a系統と交配して後部絹糸腺でTALERを発現させ、h-fibroin遺伝子あるいはAwh遺伝子の発現抑制が起こっているのかどうかを明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当所の予定よりも安価で購入できた物品等が存在したため。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬の購入等に充てる予定である。
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