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2017 年度 実施状況報告書

ナノバブル水の潅漑による湛水水田土壌の還元抑制に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K18829
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

南川 和則  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 主任研究員 (60601151)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードウルトラファインバブル / 気候変動 / 水田 / 溶存酸素 / 温室効果ガス
研究実績の概要

本年度は1回の湛水土壌培養実験を実施し、純酸素から作成したナノバブル水(NB)の潅漑による土壌還元抑制効果を検証した。
イネ未栽培の灰色低地土を供試して、ワグネルポットでの湛水培養実験を実施した。潅漑水の種類として、対照の水道水(CT)および市販の発生装置を用いて作成したNBを、それぞれ3反復で設定した。湛水を保ちつつ、ポット下端からぺりスタポンプを用いて一定速度で連続排水し、30℃の暗条件で8週間培養した。排水中への溶存温室効果ガス排出量(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素)および重金属溶脱量(鉄、ヒ素、マンガン)を定期的に測定した。また、マイクロセンサー(Unisense製OX-N)を用いて、土壌表面から深さ30 mmまでの溶存酸素濃度の鉛直プロファイルを1 mm単位で計4回測定した。
排水量には灌漑水の影響はなく、1.80 ± 0.04sd cm d-1となり、ポット間での均質な排水条件を確立できた。溶存メタン排出量はNBでCTよりも29%減少した。溶存酸素濃度の鉛直プロファイルは、いずれの測定回でも深さ17~25 mmまでにセンサーの検出限界(0.3 μM)以下に達した。実験開始後7および21日目には溶存酸素への潅漑水の影響は見られなかったが、35および49日目には深さ5~10 mm付近においてNBによって高く推移した。以上の結果から、本実験条件におけるNBによる土壌還元抑制効果は、深さ10mm付近まで到達していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度にマイクロセンサーの使用時の破損により実験実施に遅延が生じたため、本年度の実験実施も当初の計画より遅れているとともに、実験内容にも軌道修正が必要となった。軌道修正の理由として、土壌還元抑制に対する酸素ナノバブル水潅漑の効果を定量的に検出するためには、高い測定精度が必要であり、その予備実験(測定条件・環境の確立)に多くの時間を要したためである。当初の計画では、土壌中のメタンの賦存量、生成量、酸化量を、メタン酸化抑制剤を用いて切り分けることを検討していたが、そこまで到達することは困難であると判断した。
平成30年2月より、ヒ素・カドミウム汚染水田土壌を用いた新たな土壌培養実験を開始しており、5月上旬に終了予定である。

今後の研究の推進方策

5月上旬に終了予定の重金属汚染土壌の培養実験の結果を踏まえて、5月下旬より、同じ土壌を供試したポットスケールでのイネ栽培実験を開始する。この栽培実験では、温室効果ガス排出ならびに重金属の作物体への吸収に対する酸素ナノバブル水潅漑の効果を明らかにする。
成果公表については、マイクロセンサーを用いた実験の結果の論文執筆、重金属汚染土壌を用いた一連の実験の結果についても論文執筆を予定している。

次年度使用額が生じた理由

研究実施の遅延とそれに伴う実験内容の一部変更により、予定していた使用額に満たなかったために次年度使用額が生じた。
少額てあるため、次年度実施予定の実験において、消耗品等の購入にすべて使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 酸素ナノバブル水の潅漑による湛水水田土壌の還元化抑制2017

    • 著者名/発表者名
      南川和則、牧野知之、高橋正好
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会仙台大会

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公開日: 2018-12-17  

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