研究成果の概要 |
ホスファチジルイノシトールリン酸は生体膜の構成成分であり,細胞機能に必須の脂質である.病原糸状菌である炭疽病菌感染時に,ホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸(PI[4,5]P2)という微量脂質が,侵入菌糸のまわりに集積することが明らかになった.PI(4,5)P2の合成酵素PIP5Kを過剰発現させると炭疽病菌の感染に弱くなることから,炭疽病菌はPI(4,5)P2が多い侵入菌糸嚢膜を植物側に作らせ,感染に適した環境を作り出していることが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により,炭疽病菌感染のためには,植物細胞内で,微量脂質であるPI(4,5)P2の集積が重要であることが明らかになった.PI(4,5)P2は植物の生存に必須の脂質であるため,炭疽病菌はそのシステムを効率よく乗っ取り,感染を成立させていることが示唆された.炭疽病菌の防除ためには,PI(4,5)P2の量を適切に保つ必要があることが本研究より示された.
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