本研究では日本の産業において重要な国菌・黄麹菌Aspergillus oryzaeにおいて初期エンドソーム動態の生理的意義に関して解析を行った。初期エンドソーム動態を欠損させるため、初期エンドソームとモータータンパク質のリンカータンパク質であるAoHok1の遺伝子破壊株を作製した。Aohok1破壊株では菌糸先端部の分泌小胞の分布に異常が見られ、実際にα-アミラーゼ生産量が有意に減少していた。さらにAohok1破壊株では分生子、気中菌糸、菌核形成に異常が見られた。以上から、黄麹菌において初期エンドソーム動態がα-アミラーゼ生産および細胞分化において重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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