研究課題
プロテアソームはユビキチン化されたタンパク質を選択的に分解することによって様々な生命現象の制御に機能している。一方,DNAメチル化はエピジェネティック制御の一つであり,トランスポゾンの抑制や遺伝子発現制御に機能している。DNAメチル化が過剰になると,有益な遺伝子までサイレンシングされてしまうため,植物はDNAメチル化レベルを適切なレベルに維持することによって,ゲノムの保護と遺伝子発現を両立している。これまでの研究から,植物プロテアソームがDNAメチル化を負に制御すること,DNAメチル化関連タンパク質の分解制御に機能することを見出している。本研究では植物プロテアソームによるDNAメチル化関連因子の分解メカニズムの解明,およびこれら因子の分解の生理的役割を解明することによって,プロテアソームによるDNAメチル化制御機構の解明を実施している。当該年度は,1) DNAメチル化関連因子がユビキチン化されることを確認した。2) DNAメチル化関連因子のユビキチンリガーゼ候補因子を同定した。3) DNAメチル化関連因子が再分化で遺伝子発現が増加することを明らかにした。4)DNAメチル化関連因子変異体は再分化異常を示すことを明らかにした。遺伝学的解析から,DNAメチル化関連タンパク質の機能の詳細について解析を進めている。今後はDNAメチル化関連タンパク質が制御する領域を明らかにするため,全ゲノムレベルのクロマチン免疫沈降を実施する。
3: やや遅れている
本研究で使用する形質転換体作製時に病気が発生して実験をやり直したため,当初の計画より遅延している。より精力的に実験することで遅れを挽回したい。
当該年度で得られた結果から,DNAメチル化形成時にはDNAメチル化関連因子が安定化し,DNAメチル化の付加が完了すると分解されることが示唆された。プロテアソームはゲノムが過剰にDNAメチル化されることを抑制していると考えられる。今後は,ChIP seqによって,本因子が制御する具体的な領域を決定し,論文にまとめたい。
当初予定していたChIP seqが今年度できなかったため。次年度はChIP seqに必要な費用ならびに成果発表などの経費に充てる予定である。
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