研究課題/領域番号 |
16K18847
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
上田 篤志 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (10732315)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ジ置換アミノ酸 / ペプチド / 有機分子触媒 |
研究実績の概要 |
初年度は下記に示す通り、架橋ペプチド触媒の最適化と構造解析及び反応機構の解明に関する研究を中心に行った。 1. L-リンゴ酸から合成した5員環状ジ置換アミノ酸から立体反転や架橋部位の導入を行い、鍵となる4種の新規5員環ジ置換アミノ酸を合成した。これらと架橋を行うN末端部位のアミノ酸には、セリンの他にトレオニン、アスパラギン酸等を導入し架橋を試みた。その他アミノ酸の総残基数や架橋間の長さ(主鎖と側鎖それぞれ)に関しても検討した。 2. 二次元NMRとIRにより水素結合の相関関係を、CDとX線構造解析からペプチドの二次構造および巻き方を決定する事により、ペプチドの三次元立体構造を明らかにした。もう一方の試みとして、デプシペプチドを利用した反応機構の推定を行った。N末端の2~4番目のいずれかのアミドプロトンNHをOで置き換えたデプシペプチドを合成し、触媒反応に用いた結果、特に2及び3番目のアミドプロトンが求核剤の活性化に大きく寄与していることが判明した。これらの得られた情報をもとに、触媒の構造修飾にフィードバックすることで、触媒のチューニングを行うことができた。 3. 最適化の結果得られたペプチド触媒を用いて、幅広い基質への適用拡大を目指した不斉マイケル反応を試みた。求核剤はニトロメタン以外のニトロアルカン類やマロン酸エステル等が適用可能であった。求電子剤としては芳香環上の置換基や、芳香環部位を脂肪族鎖に置き換えたものに対しても、同等の触媒活性(収率・立体選択性)を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初研究計画の3項目についてそれぞれ計画通り研究を行い、期待した一定の成果を上げることができている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、触媒活性の向上を目指した人工アミノ酸の合成と、より高難度な分子変換反応に挑戦することで研究を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に行う予定であった実験を次年度に行うことにしたため、若干の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に当該の実験を行うことで当初計画を達成するよう努める。
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