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2016 年度 実施状況報告書

ドナー型BioLeTによる生物発光プローブ群の開発とインビボイメージングへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 16K18858
研究機関北海道大学

研究代表者

高倉 栄男  北海道大学, 薬学研究院, 講師 (40772702)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード生物発光 / 電子移動 / プローブ開発
研究実績の概要

蛍光法に比べ高感度な測定ができる生物発光法を用いたプローブ開発において、その分子設計法は限られており、多様な標的分子を検出できるようにするために新しいメカニズムの分子設計法を確立する必要がある。そこで、励起した基質分子からの電子移動(ドナー型BioLeT、以下d-BioLeT)を生物発光プローブの分子設計に適用できないか検証を行った。まず、d-BioLeTによる発光の消光現象が起こるかどうかを確認した。ドナー型の電子移動はLUMOエネルギーの低い構造へと起こることが分かっているので、LUMOエネルギーの低い構造を有する基質を設計することとした。一般的にニトロ基を有する構造はLUMOエネルギーが低く、様々な蛍光色素の蛍光を消光することが知られているのでテスト化合物としてニトロベンゼンをもつ基質の合成を行った。合成に成功し、luciferaseと酵素反応を行い発光測定をしたところ、強い発光が観測された。このことからニトロベンゼンではまだ消光させるのに十分低いLUMOエネルギーレベルではないことが示唆されたので、更にLUMOエネルギーの低い構造の設計を行い、合成を進めている。
励起した基質分子への電子移動(アクセプター型BioLeT、以下a-BioLeT)による生物発光プローブの創製にも取り組んだ。標的分子として様々な疾患や病態に関与が示唆されている過酸化脂質や活性酸素種を考えた。これらの分子を検出する生物発光プローブを開発するために、標的分子と反応する前は発光が観測されないが、反応後に発光が観測されるような分子設計を行い、合成に着手した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

d-BioLeTによる消光現象を確認するために計画に沿ってLUMOエネルギーの低い構造としてニトロベンゼンを選択し、基質に結合させた化合物を合成し発光特性の精査を行ったが、消光させるのに十分なLUMOエネルギーではなかった。更にLUMOエネルギーの低い構造をもつ基質を合成し、消光現象が見られるか確認する予定だが、どこに閾値が存在するのか予測が難しい。そこで、これまでに申請者が確立したa-BioLeTに基づく分子設計を利用したプローブ開発に着手した。これらの検討を通じ、新規の生物発光プローブの開発とその応用を行っていく。

今後の研究の推進方策

引き続きd-BioLeTによる消光現象が観測されるかを検証する実験を行う。ニトロベンゼンよりもLUMOエネルギーの低い構造を結合させた基質を設計、合成し、その発光特性を精査する。その上で、どの程度のLUMOエネルギーレベルで消光がみられるかの閾値を推定する。そのデータに基き閾値をまたぐようなLUMOエネルギーの変化が起こる化学反応を利用して、生体分子を検出する生物発光プローブが行えないかを検討していく。
また、a-BioLeTによる生物発光プローブの開発も引き続き行う。合成に成功したら、標的分子に対する選択性や定量性などの機能評価を行い、プローブの性質を精査する。その後、生物学的な実験系への応用を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

試薬や実験器具の購入に際に様々な会社に見積りを依頼して、最も安く購入できるところを常に選んできたことや、キャンペーンを利用して通常価格よりも安価に購入してきたことにより、当初の計画から差額が生じた。

次年度使用額の使用計画

生じた差額分に関しては試薬の購入や消耗品の購入に充てることとし、特に迅速に実験が進められるように効率的に配分して使用していく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] オキシルシフェリン誘導体の解析によるホタル生物発光の波長変化メカニズムの解明2017

    • 著者名/発表者名
      高倉栄男、浦野泰照
    • 学会等名
      第137年会日本薬学会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2017-03-25

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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