研究課題/領域番号 |
16K18859
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
植田 圭祐 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (40755972)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 混合粉砕 / 非晶質 / ナノ粒子 / 固体NMR / 難水溶性薬物 |
研究実績の概要 |
平成28年度は薬物/ポリマー/界面活性剤三成分複合体の組成及び調製条件のスクリーニング検討を行った。また過飽和形成及びナノ粒子形成が認められた製剤について固体NMRによる分子状態評価を行った。 難水溶性薬物としてCarbamazepine及びNifedipine(NIF)を用い、添加剤としてHPMC及びPVP、界面活性剤としてSDSを混合し粉砕を行い各種試料を調製した。混合粉砕物を水に分散することで、薬物過飽和及びナノ粒子形成が認められた。粉砕条件を変化させ水懸濁時の過飽和形成及びナノ粒子形成について評価したところ、粉砕時間増加に伴い、薬物ナノ粒子量の増大が認められた。しかし、過剰な粉砕を行った試料については薬物ナノ粒子量の急激な減少が認められた。各種固体試料について固体NMR測定を行い、薬物の非晶質化割合を算出した結果、粉砕条件および添加剤の種類によって薬物の非晶質化割合が異なることが示された。NIF/HPMC/SDS及びNIF/PVP/SDSの粉砕物について比較したところ、PVPを用いて調製された粉砕試料について、HPMCを用いた試料と比較してより効率的に薬物の非晶質化が進行していることが示された。PVPの固体MMRピークについて粉砕前後の変化を評価したところPVPのカルボニル基に由来するピークの変化が認められた。これらの結果から粉砕に伴う薬物及びPVP間の相互作用形成がNIFの非晶質化に結びついたと考察した。粉砕試料中において過剰に薬物が非晶質化した試料では水分散時のナノ粒子形成能が低いことが示された。これらの結果より水分散時のナノ粒子形成能を固体中の薬物分子状態から予測可能であることが示された。本研究は難水溶性薬物の最適なナノ粒子調製に向けた有用な知見を与えるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した(1)薬物/ポリマー/界面活性剤三成分複合体化による薬物過飽和形成及びナノ粒子形成評価及び(2)高分解能固体一次元NMR測定による三成分複合体中の薬物分子状態評価まで終えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は予定している(1)固体NMR緩和時間測定による三成分複合体中の薬物ドメインサイズの評価及び(2) 三成分複合体からの薬物の溶解/膜透過同時モニタリングを行う予定である。
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