研究課題
本研究では、超音波応答性ナノバブルリポソームと超音波照射を組み合わせた超音波応答性DDSを基盤として、効率的で安全性の高い脳指向DDSの開発をおこない、低分子薬物や遺伝子の脳送達に寄与する支配因子の解明と安全性に関する影響を明らかにすることを目的とし、評価をおこなった。本研究で構築した、高効率な遺伝子導入のためのナノバブルリポソーム製剤surface charge regulation (SCR)-based echo gas encapsulation (SCR-EGE) bubble lipopolyplexesは、分子間の表面電荷の制御に基づく膜安定化により、超音波造影ガス封入量を向上させた製剤であり、通常のbubble lipopolyplexesと比較して脳への遺伝子導入効率が高くなることを見出してきた。また、その遺伝子発現を多色深部イメージングで評価した結果、遺伝子は主に脳血管上に発現しており、わずかに脳血管外にも発現している様子が観察された。本年度では、SCR-EGE bubble lipopolyplexes製剤の組織障害性を評価することを目的とし、SCR-EGE bubble lipopolyplexes製剤を投与したマウスに対し、脳へ超音波照射をおこない、処置後の脳組織の障害性をヘマトキシリンーエオジン染色によって評価した。その結果、遺伝子導入1日後においては、わずかに血管外への赤血球の漏出がみられたものの、3日後と7日後においては赤血球の漏出は観察されなかった。そのため、超音波応答性DDSによる組織障害性は一時的なものであると考えられるが、安全性を向上させるための、より詳細な超音波照射条件を探索する必要があると考える。
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International Journal of Nanomedicine
巻: Volume 13 ページ: 2309~2320
https://doi.org/10.2147/IJN.S157375
Journal of Drug Targeting
巻: - ページ: -
10.1080/1061186X.2017.1419354
www.ph.nagasaki-u.ac.jp/lab/arp/index-j.html