研究課題/領域番号 |
16K18867
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
井上 元基 明治薬科大学, 薬学部, 助教 (90722950)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 低波数ラマン分光法 / 透過測定 / 結晶多形 / 定量 |
研究実績の概要 |
2017年度は研究実施計画に基づき、プローブ型低波数ラマン器に取り付け可能な透過および反射測定可能なジオメトリーを作成し、その性能を検討した。作成したジオメトリーを用いて、透過ならびに反射測定を用いた錠剤中結晶原薬の定量性の比較を行った。試料には厚さ、原薬割合を変えた錠剤を用意した。 本分光法の最適化を行うため、様々な条件でスペクトル取得を行った。錠剤厚さを変えると、反射測定の場合にはスペクトル強度はある厚さまで徐々に増加した後、一定値を示した。一方、透過の場合にはスペクトル強度はある厚さまで徐々に増加し最大値を示した後、徐々に低下することがわかった。したがって、透過、反射いずれの測定においても分光器の条件と測定に最適なサンプルの条件があることがわかった。異なる割合の結晶性原薬を含有する錠剤について結晶性原薬の仕込み割合と得られたスペクトルを多変量解析(部分最小二乗法:PLS2)することで算出される含有量との割合との関係をプロットした。得られた関係から、R2、RMSEおよびRMSECVを算出すると、いずれの値も透過のほうが反射測定よりも定量性が高い結果となった。 本結果を論文としてまとめており、現在投稿準備中である。本研究より派生した研究として低波数ラマン分光法による化学量論比の異なる共結晶の形成をモニタリングを行い、結果を論文としてまとめ発表を行った(Ind. Eng. Chem. Res. 2017, 56, 12693-12697)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの2年間で計画していた透過ユニットの作成ならびに結晶多形の定量を行っている。得られた結果は当初予期していた通り、従来の反射型と今回開発した透過低波数ラマン分光法とを相関係数、RMSE、RMSECVを用いて比較すると、本法のほうが定量性が高いという結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
共結晶中に含まれる原薬ならびにコフォーマーの定量を行うために、調製した共結晶に原薬ならびにコフォーマーを添加し、調製した共結晶の濃度を決定する。共結晶を種々の濃度含有した錠剤を調製し、低波数ラマンスペクトルを取得し、同様に定量できるか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外で開催された国際学会の旅費ならびに参加費を助成金および大学からの研究費でまかなうことができたため、差額が生じた。
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