研究課題
アデノウイルスベクター(Adv)ワクチンの効果向上を目指し、Adv投与後の獲得免疫応答誘導メカニズムについてⅠ型インターフェロン(Type I IFN)受容体ノックアウト(IFNAR2 KO)マウスを用い、種々の検討を行った。これまで我々は、Adv投与後の所属リンパ節における炎症性樹状細胞がType I IFNシグナル依存的に増加に伴いTh17が誘導されることで、Advワクチンによる粘膜面での抗原特異的なCTL誘導が増強される可能性を見出してきた。今回我々は、Adv投与後の筋肉において、どのような抗原提示細胞がType I IFNシグナルの制御を受けているのかについてフローサイトメトリー解析を行ったところ、炎症性単球がType I IFNシグナル依存的にAdv投与部位である筋肉内に動員・活性化されることを明らかにした。さらに、この炎症性単球の筋肉内への動員にはCCL2またはCCL7、あるいはその両方が重要であることも明らかにした。炎症性単球は炎症性樹状細胞の前駆細胞であることから、活性化した炎症性単球が所属リンパ節へと移行し、炎症性樹状細胞へ分化すると考えられた。次に、IFNAR2 KOマウスにおけるAdv投与後の粘膜面での抗原特異的なCTL誘導の減弱がTh17の減少によるものかどうかを明らかにするため、in vitroで分化誘導させたTh17の移入実験を行った。すると予想したとおり、IFNAR2 KOマウスにおいてAdv投与後の粘膜面での抗原特異的なCTL誘導の回復が認められた。さらに同様の検討を野生型マウスについても実施したところ、Th17の移入によりAdv投与後の粘膜面での抗原特異的なCTL誘導が増強されることを明らかにした。本研究成果によって、Th17の活性化という新規ストラテジーが全身投与型ワクチンによる粘膜免疫応答誘導において重要であることを明らかにした。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Front. Immunol.
巻: 8 ページ: 1456
10.3389/fimmu.2017.01456