妊娠中の母親へのストレスが、生まれた子の精神発達に影響を及ぼすことが臨床研究により報告されている。本研究では、胎生期ストレス曝露モデルマウスを作成し、その病態生理学的特徴の解明を試みた。その結果、脳内のヒストン修飾を基盤としたエピジェネティクス制御機構の異常が、胎生期ストレスによる子の精神発達障害に一部関与している可能性を見出した。 さらに、胎生期ストレス刺激により惹起される情動障害に対する抑肝散の幼少期投与の効果について検討した結果、胎生期ストレス刺激により誘発される不安感受性の亢進は、抑肝散を離乳後4週間処置することにより改善し、その治療メカニズムにヒストン修飾が関与する可能性を見出した。
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