研究課題
生体内での中性脂質(コレステリルエステル (CE) とトリグリセリド (TG))の蓄積は、脂肪肝や肥満を惹起することから、その予防・治療法が求められている。本研究では、1) 中性脂質CEとTGを生成させる細胞評価系を用いて、微生物資源を対象にその生成阻害剤を探索すること、2) 既に申請者の研究グループが発見してきたCE生成に関与するステロールO-アシル転移酵素2 (SOAT2) 阻害剤ピリピロペンA誘導体が脂肪肝発症動物モデルにおいて有効であるかどうかを検証すること、3) 項目1) で発見した新しい微生物由来の機能分子の構造や標的分子の解明を目的として進めている。まず、1)中性脂質生成阻害剤の探索については、我々の研究室で供給される約2000 サンプルの微生物培養液サンプルを中心に評価した結果、真菌の培養液から新規化合物3成分と海洋生物から新規化合物5成分を発見した。つぎに、2) SOAT選択的阻害剤の動物実験に関する研究については、SOAT2選択的阻害剤ピリピロペンA誘導体に焦点をあて、研究を進めている。これまで、マウスなどにおいて脂質低下作用と抗動脈硬化作用を確認したが、本年度は脂肪肝(NAFLD)や脂肪肝炎(NASH)に対する影響を評価した。最後に、3)標的分子の解明に関する研究については、1)で発見した8成分は、細胞毒性を示すことなく、いずれも動物細胞内のCEを選択的に阻害した。さらに、CEの最終生成酵素であるSOATに対する影響を、細胞膜画分を用いて、酵素レベルで評価した結果、細胞レベルでの結果と良い一致を示し、その標的分子はSOATであることを明らかにした。
北里大学薬学部微生物薬品製造学教室http://www.pharm.kitasato-u.ac.jp/microbchem/wei_sheng_wu_yao_pin_zhi_zao_xue/Welcome.html
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