研究実績の概要 |
前年度ではヒト骨髄腫細胞株U266由来IgEに結合するペプチド配列の取得、マウスアレルギー性鼻炎モデルの構築、およびOVA特異的なIgEに対するK277L282ペプチドの結合確認実験を行った。今年度はまず、U266由来IgEに結合するペプチド配列をより網羅的に調べる目的で、Miseq(illumina)を用いて、取得したファージのランダムDNA配列のdeep sequencingを行った。その結果、C末端側にAsn-Pro-Argを含む配列が高頻度で検出された。次にOVAアレルギー性鼻炎モデルマウスにおいてK277L282ペプチドによる炎症の抑制効果を確かめる実験を行った。6週齢BALB/c雌マウスにOVAを皮下投与し感作させ、その後OVAを連日点鼻投与し炎症を惹起するのと同時に、K277L282ペプチド或いはコントロールペプチド(50 μg/day)を腹腔投与した。その結果、K277L282ペプチド投与群ではコントロールペプチド投与群に比べてわずかながらtotal IgE量の減少が見られた。また、U266細胞に対するKLAKペプチド(Sugihara et al Nature Commun 5: 4478, 2014)の感受性を調べた。その結果、U266細胞では、KLAKペプチドの低濃度存在下(50-100 μM)においても細胞死が認められ、高い感受性を示した。今後はIgEに結合するより最適なペプチドを配列の取得と、アレルギー性鼻炎モデルを用いた症状緩和効果を調べる方針である。
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