我々を取り巻く食品や大気汚染物質中に含まれ、生体への曝露によりタンパク質のチオール基に容易に結合することからその健康影響が懸念される環境中親電子物質と称される一群がある。本研究では種々の環境中親電子物質のリスク評価と、高い求核性を有した活性イオウ分子によるその不活化という新奇防御機構の解明を目指した。その結果、活性イオウ分子が当該物質のイオウ付加体形成を通じてタンパク質の親電子修飾と細胞死を抑制することを見出した。また活性イオウ分子投与下では当該物質曝露に応答し細胞生存に寄与するシグナル伝達系の応答は低下した。すなわち活性イオウ分子は環境中親電子物質に対する初期防御因子であると示唆される。
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