抗酸化酵素の活性中心となるセレン(Se)は,血流量が多く酸素消費が活発である脳において特に重要な機能を担っているが,脳内のSe代謝については不明な点も多い。本研究においてSeの活性代謝中間体であるセレノトリスルフィド(STS)化合物を利用してSe代謝過程の解明を試みた。神経細胞へ低分子および高分子のSTS化合物を添加した結果,いずれの化合物由来のSeも細胞へ取り込まれ,Se含有酵素の生合成に利用されることが示され,神経細胞へのSe輸送においてもSTSとタンパク質チオールとのチオール交換反応が寄与している可能性が示唆された。また,新たなSe結合性タンパク質として,ミオグロビンを同定した。
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