研究課題
これまでに,ORF66欠損カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(⊿ORF66 KSHV)の性状解析を中心に研究を実施してきた.⊿ORF66 KSHV産生細胞からの顕著なウイルス産生量の低下をみとめた.さらにRT-qPCRアレイによるKSHV遺伝子発現解析から,⊿ORF66 KSHV産生細胞では野生型ウイルス産生細胞に比して,ウイルス後期遺伝子群の発現が低下していることを確認した.あわせて今年度は,ORF66欠損ウイルス産生細胞へORF66発現プラスミドを導入したところ,ウイルス産生量の回復をみとめた.このことは,ORF66がウイルス産生に必須であることを強く裏付ける結果である.さらにChIP法により,ORF66がウイルスゲノム上のウイルス後期遺伝子転写開始領域と会合していることが示された.以上のことから,ORF66は,KSHV後期遺伝子発現に重要なウイルス性前開始複合体を構成し,かつ機能する因子であることが強く示唆された.次に,ORF66がどのようにウイルス性前開始複合体中で機能しているのかを明らかにするため,機能的ドメインの探索にとりくんだ.複合体形成に中心的役割を担うと我々が明らかにしたORF34とORF66との結合領域を,ORF66欠失変異体を用いたPull-downアッセイにより検討したところ,ORF66のC末端に含まれる4領域が重要であることが示唆された.さらにはアラニンスキャニングにより重要アミノ酸残基の同定をこころみたところ,数箇所のシステイン残基を含むアミノ酸モチーフ配列が重要だとの結果を得ている.同定したモチーフ配列保持領域のひとつは,前開始複合体構成因子である基本転写開始因子TFIIB(好熱古細菌Pyrococcus furiosus由来)のドメインの一部と,類似相同構造を有する領域であった.
日本薬学会第138年会において、2演題(指導学部生:伊藤知恵,鶴見さやか)が学生優秀発表賞を受賞した。日本薬学会近畿支部大会において、1演題(指導学部生:前田 佳子)が優秀ポスター賞を受賞した。
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Nature Communications
巻: 9 ページ: 49
10.1038/s41467-017-02089-9
International Journal of Oncology
巻: 52 ページ: 505-517
10.3892/ijo.2017.4215
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